よく聞かれる質問に対し、胡坐堂(アグラード)の考えをあれこれと書いてます。
Q1. ハリは痛くないですか?
これは、鍼灸治療が初めてという人の多くが抱く不安ですよね。やはり、ハリっていうと注射針や裁縫針をイメージするから『 痛いんじゃないかなぁ』と思われるのもわかります。
でも『 ほんとに痛くないんですよ! 』といっても説得力ないかもですね?
では、以下に痛くない理由をいくつか挙げてみます。
① 鍼灸院でよく使われる針の太さは、0.18㍉〜0.2㍉。一般的な髪の毛の太さは、0.16㍉〜0.17㍉。胡坐堂で主に使うハリは、一番細い規格の0.14㍉。なんと髪の毛よりも細いのです。
② わたしたちは、無闇にハリを打つわけではなく、ちゃんとツボに刺します。
③ 痛くなく刺す技術があります。
④ ハリ先の形状が、注射針や裁縫針とは異なります。
⑤ そんなにいたけりゃ誰もしない・・・。
⑥ 胡坐堂ではハリ初体験のほとんどの人が、『むしろ気持いいですぅ〜 』
『なぁ〜んだ、もっと早くからやっておけばよかった〜』などといわれます。
というような理由で納得頂けましたでしょうか?
ただし、人間の感覚は一定ではなく個体差もあるし状況次第でも変わります。
同じ温度の風呂に入っても「 熱い!」と感じる人もいれば「 ぬるい!」と感じる人がいますね。
また、術者の技術やハリの太さ、ハリの製造メーカーの技術次第でも受ける感覚は異なるでしょう。
ですから、『痛くないですよ!』と単純には言い切れないところもあります。ここに挙げたのは、あくまでも一般的な例です。
まあ、ちゃんとした技術で、ちゃんとしたハリを使ってやれば、痛くはないはずですよ。なぜなら、胡坐堂ではほとんどの人が治療中に氣持ち良さそうに(中には大口開けて…)眠っていますから・・・。
Q2. 以前、鍼に行ったとき神経にビィ〜ンと痛みが走り怖くなりました。
そういうものですか?
これはけっこう太い鍼で深く刺入して、なおかつ知覚神経線維の近くに鍼がいったために、起こった現象だと考えられます。こういうことは、太い鍼でブスブスと雑な鍼の打ち方をしない限り滅多に起こることではありません。
通常は、筋肉に深く刺しても鋭い痛みは感じないものです。なぜなら、筋肉には痛みのセンサーは少なくて、鋭敏でもないので、その痛み方も「ビ〜ン」と鋭い痛みではなくて「ズゥ〜ン」とするような鈍い感覚が起こります。これは『 鍼のヒビキ 』といわれるもので鍼治療の特徴のひとつとも言えます。この感覚は、鍼好きの人にはひどく好まれるものです。
ただ、わたしの臨床経験上、この『 ヒビキ 』は必ずしも必要なものとは考えていません。なぜなら、ほとんどのケースで『 ヒビキ 』がなくても効果に違いがないからです。
なので、当院では(それを好む人の場合は別ですが)わざわざ『 ヒビキ 』を与える治療はしません。多少感じることもあるかもしれませんが、基本的に強い刺激は行いません。
ひとり一人の、その時々のカラダの声を聴きながら行なうのが胡坐堂的鍼灸治療です。ご安心下さい。
Q4. ハリはなぜ効くのですか?
このことについて説明しだすと数ページが必要になってしまいそうです。鍼治療がなぜ効くのかは、科学的な検証がいろんな研究機関でもなされているし同様の質問への回答が多くの鍼灸院のHPにも記載されていると思います。検索して参考にされて下さい。
なので、ここでは胡坐堂なりに…。
『 ツボ 』というだけで効きそうな気がしませんか?
「 ツボにはまる 」「 ツボを心得る 」「 成功のツボ 」などなど、『 ツボ 』とは大変重要で大切なポイントということがわかりますね。
ただし、そのポイントを的確に捉えることができるかどうかが重要なのです。
カラダはツボを通していろんな反応があります。その反応を診ながら、どの方向から、どれくらいの強さで、どのように刺せばイイのかをあなたのカラダが教えてくれます。わたしはその教えに従って鍼をうちながら変化を感じています。
効き方は、状態や程度その他様々な条件で異なるでしょう。理論・理屈が効くわけではありません。あなたにどうなのかは、あなたが体感することでしかわかりません。是非一度、いらしてください。
Q6. 肩こりなのに、なぜ腕や脚にも鍼をするのですか?
わたしは「肩こり」だろうと「腰痛」だろうとほとんどの症状で腕や脚のツボも使います。もちろん、それは意味があっての事です。
Q4.でもいいましたが、ただ闇雲に鍼を打っているわけではありません。また、単に痛いところだけに鍼をうつ対症療法的な考えが、わたしにはありません。
確かにそのような鍼灸院もあるのかもしれませんが、わたしは鍼灸師です。
鍼灸師の仕事とは、ツボと通じ、鍼を通じ、灸を通じ、ココロとカラダの氣の調子を調えることだと考えています。なので、痛いところにだけやる方法は鍼治療の真髄ではないと思います。なぜならば、カラダにはたくさんのツボがあるでしょう。ツボは効くからツボなのですよ。
あなたをツボにはめて『あぁっ!!』と驚かすためのツボなんですよ。だから、全身のツボをより効果的に使って、ココロもカラダも元気に戻ることをお手伝いするのが胡坐堂的鍼灸治療です。
また、ツボは経絡という流れの中に点々とあります。経絡とは、氣の通り道で全身をくまなく巡っています。そのどこかに、流れの悪い箇所ができると、それが「 肩こり 」や「 腰痛 」その他の不調としていろんな症状が現れてきます。このように全身を巡っている経絡とその中に点々とあるツボの作用を駆使すれば「 肩こり 」なのに手のツボや足のツボを使うのは当たり前のことなのです。
カラダは経絡という氣のルートで全身が繋がっています。必ずしも、痛いところやつらいところが治療する部位ということではないのです。
Q8. 鍼は癖になると聞きましたが…
『癖になる…』いいじゃないですか〜。
ジャンジャン癖になって下さい ^^
だって、それだけイイから癖になるんでしょう??
癖になるくらい気持ちイイんでしょう??
もし、癖になるってことが 「中毒」という意味で思われているんであれば、まったくの誤解です。
鍼治療は長い歴史のある『医学』です。当然、世界中で国家資格が必要です。その患者を治すための医学が「中毒患者」を作ってどうしますか?
鍼治療をすると、からだが軽くなってスッキリするので、しばらく鍼治療から遠ざかっている人が疲れてくると、鍼をした後の爽快感を思いだして「あ〜、ハリ行きたい…」「 ハリってクセになるんだよね〜 」みたいなことから勘違いが生まれたんだと思います。
あなたも胡坐堂(アグラード)で癖になって下さい!
Q9. 鍼治療には『合う・合わない』がありますか?
わたしは、基本的に『ない!』と考えます。
たまに「 わたしはハリが合わないんですよ!」と言われることがあります。
詳しく聞いてみると、過去にやったハリ治療で、
◎ かえって症状が強くなった。
◎ ハリが痛かった。
◎ 効果が感じられなかった。……などの答えが多いようです。
しかし、これらはハリ治療そのものの問題ではなく、施術者の技術的な問題や相性、患者さんのその時の状態などいろんなことが考えられると思います。
風呂の温度をどれくらいが気持ちイイと感じるか、の感覚が違うように痛みに対する感覚にも個人差があります。また、緊張しやすい人、恐がりの人で、なおかつハリ治療が初めての場合、鍼灸師側は余計に気を使い慎重にハリをしなくてはいけないでしょう。
人それぞれに、その時のキモチもカラダもすべてが違います。
同じ症状だからって、同じ治療法、同じ刺激量ということはありえません。
どのようなタイプの人にも、適確なツボの選択で適正な刺激の量を与えることができれば、ハリ治療が合わないということはない!と思います。
「合わない!」ではなくって、治療者が「合わせることができない!」の方がより正解に近い氣がします。